会長挨拶

会長 道田 豊

 このたび、2017年10月の評議員会およびその後の手続きを経て、徳山前会長の後を引き継いで会長になりました。前会長と同様よろしくお願い申し上げます。
 当学会は、まもなく設立30周年を迎えます。会長に就任するにあたり、今一度1988年設立時の趣意書を確認しました。地球およびそこに暮らす我々人類にとっての海洋の重要性、とりわけ未知の部分が多いことから調査研究の大事さが強調されています。調査研究を進めるには、技術開発をも並行して進め、調査研究と技術開発が連携しあっていく必要があると説かれ、そのため、調査研究と技術開発における成果の発表と意見の恒常的な交換の場を設けることを趣意として学会を設立するのだ、とその理想が宣言されています。  この30年間、海洋調査技術をとりまく国内外の情勢は大きく変わりました。国連海洋法条約の発効、海洋基本法の制定、ソ連崩壊に伴う国際政治バランスの変化、地球温暖化や東日本大震災の影響も含めた海洋エネルギー資源等への期待の高まり、2004年のインド洋、2011年の東北沖と比較的短期間に連続した巨大な津波による被害などをみるとき、海洋調査技術の重要性は変わらないどころかますます高まっていると思われます。
 海洋の調査研究の進展には技術開発が不可欠であり、たゆまぬ技術開発なしには海洋に関する調査研究の発展はないという強い信念に基づいて当学会は設立され、これまで約30年間、海洋調査に関する技術開発の成果を発表する舞台を提供し続けてきました。この意義は変わらないどころか、今こそ、調査研究の成果、技術開発の成果を同じ土俵で議論し意見交換を行うという当学会のユニークな立場は、広くその意義が認識されるべきときに至っていると考えています。  初代会長は永田豊先生で発足から約10年間会長を務められました。永田先生は大学院修士時代の指導教官であり、その後も35年の長きにわたり非常にお世話になりました。このたびの第六代会長への就任には感慨深いものがあります。永田先生はこの学会の意義に大いに共感され、技術開発の重要性、そしてそれを広く世に問うて議論する場を提供することの大事さを常に強調されていました。理学的研究、海洋の調査研究と技術開発の交流による、相互の発展を企図する当学会の精神を改めて意識し、新会長としても強調したいと思います。
 当学会が重要性を増している一方で、会員数の減少傾向、論文発表件数の減少など、運営面では課題も多くあります。会長としてそれら課題の解決に取り組み、継続的に成果を発信し学会としての社会的責務を果たしていけるよう、力を注いで参りたいと思います。そのため、評議員、各委員会委員の皆様をはじめ、学会員の皆様のご協力を賜り、ともに海洋調査技術学会、ひいては海洋調査研究、技術開発分野の発展を目指していきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。


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