海洋調査技術学会設立趣意書

 
1988.11

 近年の海洋への関心は、海洋法条約による新しい海洋秩序形成の動向や最近の高度な科学技術の海洋分野への応用等と相まって、これまで以上に高まっています。

 また、高水圧の海洋は人間が直接近づき難い厳しい環境条件下にあり、かつ広大な水圏を構成していることから、今後とも調査研究を深めて、海洋の利用・開発を進めることが人類全体の希望となっています。

 しかしながら、海洋には未知の部分が多く残されており、基礎から応用までの幅広い調査研究が必要です。海底から地球内部に及ぶ地学現象や海水・海洋の性質挙動または海洋生物の実体などについての基礎的な知見とそれにアプローチするための機器や手法は、やっと端緒が開かれたところであり、応用面でも海水資源、海底資源、生物資源及び海洋空間資源の効率的利用へ向けて研究開発されつつある現状です。

 現在、国の機関では、航海安全、漁業・鉱物資源等の調査はもとより海底・海洋諸現象の解明、地震火山予知等の調査研究や技術開発が進められているほか、海洋を利用・開発する各種の構想や事業を企画・推進しているところです。また、大学では、地球科学及び海洋科学の調査研究が新しい調査技術の導入や外国との共同研究として進められています。さらに、民間においては、沿岸域の事業のため各種の調査やそれに必要な技術開発・機器開発が進められており、それぞれの調査研究は、対象の広域化、内容の高度化、データの高精度化、体制の国際化等が求められています。

 海洋の調査研究に従事する個人及び国、大学、企業等にとって、調査研究とそれに必要な技術開発を効率的に進め発展させていくためには、それぞれの分野が連携しあって技術と成果について討議を行い、情報交換を進め、お互いに啓発しあって学際的な知識と高度な工学的技術を向上していかなければなりません。

 しかし、残念ながら現在に至るまで、海底から海水に至る海洋調査研究と技術開発について連帯・連携・交流を図る横断的な組織ではありません。

 このため、調査研究と技術開発における成果の発表と意見の恒常的な交換の場を設け、この分野の進歩発展に貢献することを目的として海洋調査技術学会を設立しようとするものです。