第17号(1997年3月発行第9巻第1号)

表紙写真:ケーブル式海底地震計によって観測された福徳岡ノ場の海底火山活動

 

1997年2月17日に、房総沖と三陸沖に設置されているケーブル式海底地震計システムに断続的な振動を繰り返す波形が観測された。図はそれぞれのシステムの3台の海底地震計の水平方向の1成分を原点の時刻をずらして示している。2つのシステム間の距離と波形の到来時刻の差から、これらの波は南方を起源とする丁相の地震波(海水を伝わる粗密波)であると考えられる。同日に自衛隊の航空機によって南硫黄島近海(福徳岡ノ場)で変色水が観測されており、ここでの海底火山活動がおそらく観測された丁相の源であると考えられる。
近年、上記の三陸沖の他に相模トラフや伊豆沖、土佐沖などに次々とケーブル式海底地震計が設置されている。1998年初頭には沖縄の東方沖にも地震計を初めとした海底観測システムが構築されるなど、今後、日本周辺海域でのリアルタイムの海底観測システムの整備が急ピッチで進められる。これらのシステムによって、海域の詳細な地震活動の把握に加えて、海底火山活動の監視も可能になるだろうと期待される。

(資料提供:束京大学地震研究所・気象庁)


口 絵

深海ボーリング・マシンの作動テスト(左)

インターネット・ホームページの紹介(右)



論 説

紹介記事

会告・学会記事(p.71)

書評・文献情報(p.90)


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