会長挨拶

会長 徳山 英一

会長 徳山英一  2009年10月の評議員会におきまして,会長に就任いたしました徳山と申します.  就任に際し,ご挨拶として私の海に対する思いを述べさせていただきます.     我々は,過去に経験したことがない,さまざまな地球規模の問題を抱えています。その代表は、大気中の炭酸ガス濃度です.産業革命以降,今日までの期間に50%程増加したことで代表されるように,きわめて急速に地球環境が変動しました.海は炭酸ガスのシンクであり、また陸と比較し比熱が高く膨大な熱容量を有していることから地球環境変動を制御する役目を担っています.また,21世紀の前半にも地球規模の食糧、エネルギー・鉱物資源不足が訪れるのではと危惧されており、これまで大規模な開発・利用が行われていない海に存在する水産物、エネルギー、鉱物をはじめさまざまな資源が注目されています。   このような状況の下,人類は深海を含む全海洋を管理・利用する対象としつつあります.しかし,人類にとって海の大半はいまだに未知の存在です.海を管理・利用するには海を知ることが不可欠と考えます。このことはすでに海洋開発審議会の中でうたわれています.しかし,これまで手付かずの全海洋との共生関係を創造しながら管理・利用するためには、広域にわたる均質な海洋情報を整備するとともに、先端技術に立脚した高解像海洋調査により基盤情報を収集・整備し、全海洋システムを包括的に理解することが不可欠でではないでしょうか。我が国は周囲を海に囲まれた島国です。しかし、島国だからこそ海を管理・利用する地政学的な利点を有していると過言ではなく、海をベースにすることで21世中に予想される全地球的問題の解決に主導的立場を築けるのではと考えます.   前会長は海洋基本法が成立した直後に就任され、機会あるごとに当学会の理念を世に発信してきました。皆様ご承知のことと存じますが、2007年12月末に拡大企画委員会で本学会としての考えをまとめ、提言書として総合海洋政策本部事務局に提出しました。その提案書は(1)海洋調査の充実・強化,(2)海洋情報の利用促進、(3)海洋調査技術の研究開発の充実、 (4)人材育成,の四つの項目から構成されています。今後も前会長が進めてきた方針を踏襲し、現場に主軸を置く海を知るための調査技術のフロントランナーを担う中核組織としての役割をになうため、当学会の発展に尽力いたしたく存じます。そのためには、評議員および各委員会委員のみならず学会員のご協力が不可欠と思っております。よろしくお願い申し上げます。また総会に参加されなかった会員の方々には,会誌発行の関係からご挨拶が遅れたことをお詫び申し上げます.